2017年1月1日 日曜日

東日原を基点に石尾根と長沢背稜を周遊

元日登山 奥多摩縦走

雲取山 2,017m

 大晦日の21時に自宅を出て、23時に東日原に到着。23時15分に元日登山をスタートした。稲村岩尾根から鷹ノ巣山に登り、そこから石尾根を雲取山まで歩き、さらに長沢背稜を進んで三ッドッケからヨコスズ尾根を下るという超ロングコースへの挑戦だったので、無理そうなら去年と同じ富田新道を下るか、あるいは水松山から天祖山経由で下ることも考えていたが、何とか予定どおりのルートを踏破することができた。昨年よりも暖かくて凍えるようなことはなかったが、延々と続く暗闇の道が精神的にキツかった。雲取山山頂では人の多さに面食らったが、昨年に続いて見事な初日の出を拝むことができた。雲取山荘で念願のトチ餅を頂いてから後半の長沢背稜に挑んだが、足が攣るようなこともなく静かな山歩きが続いた。酉谷山を過ぎる頃には何も考えられないくらいに疲れていたが、かえって歩くことだけに集中できて、いつもとは異なる次元の心地よさを覚えた。

 雲取山山頂の寒さで起動しなくなった携帯電話が下山後も使用できなかったので、少しでも早く帰って下山報告をしようと今回は青梅ICから高速に乗った。車は多かったが2時間弱の運転で帰宅。その後、寝られないほどの全身痛(特に関節)に苦しめられ、無理をし過ぎたことに気付かされたが、記憶に残る充実の元日登山となった。

登山コースデータ
単純標高差 : 1,397 m
累積標高差 : 3,070 m
コース距離 : 34.3 km
標準コースタイム : 17 時間 15 分
歩行データ
総歩行時間 : 14 時間 45 分
総行動時間 : 16 時間 35 分

 コースタイム

東日原P 23:15 ⇒ 稲村岩分岐 0:15 ⇒ ヒルメシクイノタワ 2:00 ⇒ 2:40 鷹ノ巣山 2:45 ⇒ 千本ツヅジ 4:15 ⇒ 4:40 七ッ石山 4:45 ⇒ 奥多摩小屋 5:25 ⇒ 小雲取山 5:55 ⇒ 6:20 雲取山 7:20 ⇒ 7:35 雲取山荘 7:50 ⇒ 大ダワ 8:05 ⇒芋ノ木ドッケ 8:45 ⇒ 長沢山 9:45 ⇒ 水松山分岐 10:15 ⇒ 行福ノタオ 11:25 ⇒ 11:55 酉谷山 12:05 ⇒七跳尾根分岐 12:55 ⇒ 13:25 ハナド岩 13:30 ⇒ 13:55 三ッドッケ 14:05 ⇒ 東日原P 15:50

2016/12/31 23:00 東日原 駐車場 到着

いつものように東日原の有料駐車場(500円)に車を停めて、23:15 登山スタート。

23:25 集落から稲村岩尾根に続く登山道へ。ここからは真っ暗闇の道となる。

巳ノ戸橋を渡る。歩き始めということもあって、ここから稲村岩の分岐あたりまでの谷歩きが一番怖い箇所。

日原川沿いを進んでいる間に日付が変わり新年を迎えた。0:15 稲村岩分岐を通過。

何度見ても光が動いているように見えて、今回は絶対に後から登山者が来ていると思ったが、やはり集落の灯だった。

2:00 ヒルメシクイノタワを通過。去年よりも暖かくて風もないため、ダウンを着る必要はなかった。

2017/1/1 12:40 鷹ノ巣山 1,737m

鷹ノ巣山に到着。山頂にはテントが3張り。山頂標が随分立派なものに変わっていた。それほど寒くなかったので、おにぎりを食べて小休止した。満天の星空で、街の明かりもよく見えていた。

3:05 鷹ノ巣山避難小屋を通過。ここにも大きなテントが2つ張ってあった。

今回は超ロングコースの上に、真夜中なので日蔭名栗山と高丸山は巻いて進んだ。

4:15 蜂谷へ下る赤指尾根との分岐となる千本ツツジを通過。体力温存のために極力ゆっくり歩いていたので、時間が少し気になっていたが、この時点で5時前に七ッ石山に着けると分かった。
一息ついて山道脇に広がる笹原に分け入り、ヘッドライトを消して小用をたしていたら、突然すぐ近くの笹原がガサガサ鳴り出して総毛立つほど驚いた。ヘッドライトを点けるとピタリと音が止み、周囲を見回したが何も確認できなかった。急いでその場を立ち去ったが、Maxに跳ね上がった心拍音が聞こえるようで、動悸がしばらく治まらなかった。音の大きさから小動物とは思えない。何の類か分からないが、登山道からそれほど離れていない場所で寝ることなどあるのだろうか。とにかく怖かった。

4:40 七ッ石山(1,757.3m)に到着。ここから雲取山まではゆっくり歩いても2時間かからないので、ナッツを食べてひと休みしてから先へ進んだ。

ブナ坂で登山者が3名休んでいた。ヘリポートまで来ると、テントがずらりと並んでいた。5:30 奥多摩小屋を通過。

小屋から先は夜中と思えない人の多さ。7時間歩いて疲れた私は、後から来る人たちに次々と抜かれた。

6:20 雲取山 2,017m

雲取山に到着。予定よりも20分早く着いた。足が攣ることもなく、ここまでは順調にきた。

山頂で待つ間に自撮り。時間とともに、初日の出を待つ登山者の数がどんどん増えていった。

地平線に厚い雲があるため、日の出時刻(6:46前後)になっても太陽は上がってこない。

6:55 ついに元旦の太陽が昇ってきた。iphoneでも写真を撮ろうとしたら、バッテリーの表示が出たきり画面が消えてしまい、うんともすんとも言わなくなってしまった。

朝陽に照らされ、あたりのモノはすべて赤く染まった。

富士山もピンクがかった淡い柿色に染まっていた。

何度見ても神々しいご来光。心洗われる瞬間である。

見事な日の出に山頂は大盛り上がり。皆それぞれに初日の出を楽しんでいるようだった。

7:15 埼玉・東京側の山頂に移動。山頂標と記念碑の前は写真を撮ろうとする人たちでごった返していた。

初日の出に合わせて2017年記念碑の序幕式が開催。雲取山の標高2,017mを記念したもので、設置は1年間。

西側に見えた飛龍山と南アルプス。

南アルプスの右には北奥千丈岳、木賊山、甲武信ヶ岳、三宝山が並ぶ。

新しい御影石の山頂標。埼玉県と東京都で別々に設置されていた山頂標が統一された。

7:20 雲取山荘へ向かう。少し渋滞気味であった。

7:35 雲取山荘

雲取山荘に到着。ちょうど餅つき大会が始まるところだった。

餅つきが始まると、周りに登山客の輪ができた。

餅つきの様子。列に並べば餅つきを体験することができる。

テーブルの上にはすでに餡子が用意されていた。尚、山荘の水場で水を補給して粉ポカリを溶かそうと思っていたが、水場は使用できなかった。

山荘の方がつき上がったトチ餅をちぎって丸めてくれる。食べたい人は順番にもらって、餡子か醤油で頂く。時間がかかるようだと、トチ餅は諦めて先へ進もうかとも考えたが、山荘の方の手際はよかった。

餡子でトチ餅を食べたが、びっくりするほど美味しかった。もうひとつ欲しかったが、お土産分が欲しい人は2回目の餅つきまで待って! と山荘の方が言っていたので、諦めて先へ進むことにした。

山荘前にはストーブが出してあり、暖かい甘酒も振る舞われていた。素晴らしいことだなぁと、山荘の方々の心遣いに感じ入った。

7:50 予定より30分ほど遅くなったが雲取山荘を出発。山荘のテント場も混んでいた。

雲取ヒュッテ跡付近から白岩山と芋ノ木ドッケを撮影。

女坂を進む。

8:05 大ダワを通過。

大ダワから芋ノ木ドッケまでは約250mの上り返し。足が攣らないように、ゆっくり上った。

8:45 芋ノ木ドッケ(1,946m)を通過。後から1人来ていたので、下りと平坦な道では少しだけペースを上げた。

芋ノ木ドッケから少し進むと、東側が開けて天祖山(右)が大きく見えた。天祖山の左にはタワ尾根、その上には三ツドッケ、蕎麦粒山、川苔山が並んで見える。

踏み跡が落葉に隠れて赤テープも見あたらないような場所もあったが、何度か通っているので不安はなかった。

ヤセ尾根のアップダウンが続く。

長沢山の手前で全身に疲れを感じ始めた。他の登山者は三峯神社方面へ向かったのか、人の気配はなくなった。

9:45 長沢山(1,738m)に到着。大ダワからここまでのコースタイムを大幅に短縮できたので、これは行けると感じた。

樹間の南東側に天祖山(真ん中右)が見えた。その右奥には日蔭名栗山と高丸山。

稜線の北側をしばらく進む。北側斜面はわずかに雪が残っていた。

10:15 水松山の分岐を通過。11時までに着けば三ツドッケまで行ける計算だったので、迷わず長沢背稜を進んだ。

まだ6時間近くも歩く必要はあるが、コースタイム通りで進めば日没前に下山できるところまできた。10:45 タワ尾根ノ頭(滝谷ノ峰)の鞍部にあるヘリポートに到着。

ヘリポートから眺めた北西側。両神山、浅間山、赤久縄山、御荷鉾山などが見える。

両神山と浅間山。

南西側の眺め。左に天祖山、右には小雲取山と雲取山が見える。

天祖山の中腹には石灰石採掘場がよく見えた。天祖山の右上には富士山。

これから向かう長沢背稜の山々を樹間に見ながらひたすら歩く。かなり足が重くなってきていた。

騒がしいなと谷をのぞくと、野猿が何かを食べていた。

11:25 酉谷山へ向かう分岐・行福ノタオまできた。ここからの上りはかなり長くてキツい。意を決して進む。

昨年11月にタワ尾根から上った時は、ここで何度も右足が攣りそうになった。

樹間にくっきり見えた浅間山。

両神山も樹間に見えた。

分岐から山頂までは約150mの上り。ここが踏ん張りどころと無心で上った。

11:55 酉谷山 1,718m

酉谷山に到着。おにぎりを食べて、ほっと一息ついた。

山頂は南側の眺めがよい。左に丹沢の山々と鷹ノ巣山、樹木を挟んで右に富士山。

昼になっても富士山には雲ひとつかかっていなかった。

12:05 酉谷山を後にした。しばらく尾根を進んで、右下の迂回路と合流する。

ゴジュウカラが忙しく樹木をつついていた。

酉谷山から先は少しの上りもキツくなってきて、とても長く感じられた。日陰は雪が残っていた。

12:55 七跳尾根との分岐を通過。ガンガン飛ばして歩けるところだが、普通に歩くのがやっとだった。

雲取山荘の水場で水を補充できなかったので、飲料水の残りが少なくなってきた。配分を考えての消費を心がける。

13:25 ハナド岩

ハナド岩に到着。三ツドッケの上りに備えて、しばらく身体を休めた。

南側の眺め。左から大岳山、御前山、真ん中当たりに石尾根の六ッ石山、右に鷹ノ巣山。石尾根の上に丹沢の山並みと三頭山の山頂部、鷹ノ巣山の上に富士山が見える。

南西側の眺め。左から鷹ノ巣山、日蔭名栗山、高丸山、真ん中左に七ッ石山、雲取山、右に芋木ノドッケと白岩山。手前に延びるのがタワ尾根で、タワ尾根と雲取山の間に見えるのが天祖山。

北西側。左から芋木ノドッケと白岩山、滝谷ノ峰、真ん中に酉谷山で右は長沢背稜の山々。13:30 ハナド岩を後にした。

13:45 三ツドッケへ向かう道と迂回路の分岐に到着。とうとうここまで来た。

全身が疲れ切っているのに、不思議と足が攣りそうな感覚はなかった。

ひと上りすると三ツドッケの頂が見えた。

気力を振り絞ってさらにひと上り。ナッツ類をこまめに食べたおかげか、足は最後まで攣らなかった。

13:55 三ツドッケ (天目山)  1,576m

ついに三ツドッケに到着。

北東側の眺め。左にシャクナン尾根の小ピーク、その右には武甲山、小持山、大持山、笠山、堂平山、武川岳、伊豆ヶ岳など奥武蔵の山々がずらりと並ぶ。

東側の眺め。左に有間山、中央に蕎麦粒山、右に川苔山。

南側。左から本仁田山、大岳山、御前山、石尾根の六ッ石山、三頭山などが並び、御前山の上には丹沢の山々。手前の稜線は下山路となる滝入ノ峰とヨコスズ尾根。

富士山と鷹ノ巣山(右)。すっかりへたばっていたが、もう後は下るだけなので気分的にはぐっと楽になった。

西側の眺め。左から小雲取山と雲取山、芋木ノドッケ、白岩山、滝谷ノ峰、右端に酉谷山。

14:05 自撮りしてから下山開始。

いったん下って上り返すのがイヤで、右下の迂回路に降りれないか探したが、見あたらなかった。

短い上り返しだが、これが本当にキツイ。

小ピークを越えてからぐんぐん下る。落葉が積もっていて足元が見づらかった。

14:20 一杯水避難小屋を通過。男性登山者がひとりで休んでいた。

この日何度も見かけたカケス。

足首まで埋まるほど落葉が深く、凸凹や障害物が見えない。転ばないように、上から足を乗せるように歩いた。

落葉が深くて道幅がよく分からず、何度か足を谷側に取られそうになった。

植林帯を進む。飲料水は全て飲み干していたが、ここまでくれば残りはあと僅か。

九十九折りの急坂を下る。傾斜のある下りが長々と続いて、膝がガクガクになった。

日没前に余裕をもって東日原の集落に戻れた。達成感はあまりなくて、もう歩かなくてよいことが嬉しかった。

15:50 東日原Pに到着。本当に歩けたと不思議な感じがした。携帯が使えないままだったので、急いで帰路についた。