2019年8月3日 土曜日
唐松岳頂上山荘テント泊 2日目
五竜岳
2,814 m
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コースタイム
唐松岳頂上山荘テント場 5:00 ⇒ (途中休憩15分) ⇒ 大黒岳 6:30 ⇒ 7:40 五竜山荘 7:50 ⇒ 8:55 五竜岳 10:30 ⇒ 11:10 五竜山荘 11:30 ⇒ 大黒岳 12:40 ⇒ (途中休憩15分) ⇒ 唐松岳頂上山荘テント場 14:50
4:55 唐松岳頂上山荘
早朝から山荘は出発の準備をする登山者で賑わっており、山荘の裏から日の出を見ることができた。雲間にのぞいた太陽はすぐ隠れてしまったが、吉兆と感じた。
5:00 五竜岳ピストン登山スタート。正面のピークが牛首で、その右側を巻いて進む。
少し上った小ピークからの眺めが素晴らしかった。
北側には唐松岳と唐松頂上山荘。その間には白馬三山。唐松岳山頂と山荘裏の小ピークに、日の出を見ていたと思われる登山者たちの姿があった。山荘下の雪渓付近まで続くテント場も一望できた。
南側には五竜岳がそびえていた。牛首を過ぎると一見どこから降りるのか分からないのような険しい稜線が現れた。
先行していた中高年ペアがヘルメットをしていることに気づき、そんなに険しいルートだったかなぁと思っていると、いきなり高度感のあるクサリ場が連続したので面喰った。
足場はしっかりしていたが、両手を使った方が安全なので、途中でストックはザックにしまった。
アスレチックのような感覚で、スリルを楽しみながら険しい岩場を下った。
ストックを4本入れたザックが重くて、ずっとこの調子でクサリ場が続くと大変だなぁと思い始めた頃に、クサリ場の終わりと分かる標示が出てきた。ここから先はザックからストックを出して進んだ。
五竜岳まで小ピークがいくつもあるように見える。
ルートは小ピークの右側(西側)を巻くようにつけられていることが多かった。
ゆるやかなアップダウンが続く。総じて下り基調だったので、後半の上り返しがキツイだろうなと感じていた。
ルートの右手、西側の深い谷は餓鬼谷で、五竜岳の古称である「餓鬼ヶ岳」に由来する。餓鬼谷の向こうには立山や剣岳などの立山連峰がよく見えていた。
左手、東側は逆光気味だが、高妻山や妙高山などが見えていた。
ハイマツの下に咲いていたスイカズラ科のリンネソウ。輪廻ではなく植物学者リンネが名前の由来。
キク科のキオン。頭花の周辺に5枚の舌状花がのびる。
ひと山超えるとまた次の小ピークと鞍部が現れる感じで、なかなか五竜岳が近づいてこない。
開けた稜線で一休み。嫁はお腹の調子が悪くて、下痢ストッパーを飲んでいた。
大黒岳(2,511m)が近づいていた。
暗紫色の総苞が特徴的なキク科のクロトウヒレン。アザミ属が亜高山帯に多いのに対し、トウヒレンの仲間は高山帯でよくみられる。
西側を巻くように進む。
>6:30 大黒岳の標識を通過。山頂へ向かう道はないようで、ピークを踏まずに先へ進んだ。
大黒岳の急坂を下り、再びゆるやかな稜線に出た。
巻き道の灌木帯を進む。
再び稜線に上がる。
大黒岳を超えるまでに随分時間がかかった印象で、コースタイムよりも大幅に遅れているような気がしていた。
6:50 再び小休止。
まだ五竜岳は遠い。
歩いて来た稜線。左が唐松岳で右は牛首。
8時までには五竜山荘に着きたいと思いながら先へ進む。
ゆるやかな稜線が続く。この辺りの眺めは素晴らしかった。
小ピークの西側を進む。
ルートの先まで見える稜線に出た。右のピークが五竜山荘の手前にある白岳(2,541m)だと後でわかった。
背後は猫又山、毛勝山(けかちやま)、僧ヶ岳など、立山連峰の北に連なる山々。
北東方面には、雨飾山、焼山、火打山、妙高山、高妻山と妙高連峰の峰々がずらりと並んでいた。
ゆるやかな上りが長々と続く。
ゆっくりと眺めを楽しみながら上る。
まだまだ上る。
遠見尾根ルートとの合流点となる白岳の肩に出ると、一気に視界が開けた。
眼下に五竜山荘の屋根が見えた。ここまで山荘の姿が見えなかったので、唐松山荘の時と同じで、いきなり着いた感じがした。
山荘までの下りは5分もかからない。
7:40 五竜山荘に到着。思った以上に登山者が多かった。
唐松岳よりも整然としたテント場。6割ほど埋まっていた。
10分ほど休んでから、五竜岳の上りにかかった。
ゴマノハグサ科のミヤマコゴメグサ。本種は北アルプスに、よく似たコバノコゴメグサは南アルプスと八ヶ岳に分布している。
徐々にガレガレの道になってきた。
前方にクサリ場が出てきた。ストックをデポしている人もいたので、我々もストックをデポして進んだ。
クサリの連続する岩場を上る。降りてくる登山者もいるので、クサリ場は順番を待って進んだ。
クサリ場を上ってひと山超えると、またひと山見えてきた。
再び岩の急登を上る。
クサリ場をせっせと上る。
山頂を前に、嫁のペースがガクッと落ちてきた。
山頂部に到着したが、本当の山頂はもう少し先にあった。
8:55 五竜岳山頂に到着。
南側には鹿島槍ヶ岳の双耳峰がそびえていた。その手前は八峰キレットと呼ばれる険しい稜線。途中ですれ違った方は、奥穂高と槍ヶ岳も見えたと話していたが、鹿島槍ヶ岳の右奥に見えるはずの穂槍は、この時間はすでに雲の中だった。
穂槍を覆った雲の右に、赤牛岳(真ん中奥)と薬師岳(右)が見えていた。
南西側には立山連峰の山々がずらり。左から立山、別山、剣岳、右に猫又山と毛勝山。
いつかは登りたい剣岳。
北西側の眺め。立山連峰と後立山連峰の間に日本海が見えていた。
北側には歩いて来た稜線が一望できた。中央の唐松岳と牛首の上は白馬三山だが、山頂部には雲がかかっていた。
北東側の眼下には五竜山荘からの稜線が見える。その上には妙高連山が雲海に浮かんでいた。
妙高連山。左から焼山、火打山、妙高山、高妻山。
東側は遥か先まで雲海が広がっていた。
それほど広くはない山頂だが、人で混み合うことはなかった。
後はテント場まで戻るだけなので、1時間半以上山頂でのんびり過ごした。
10:30 ガスが増えてきたので下山開始。
どこから湧いて出るのか、稜線上をガスが次々に流れて、五竜山荘も見え隠れしていた。
ガレの急坂を下る。
下りる頃になって、登ってくるハイカーの数が増えてきた。
山頂直下の急坂を下り終えて、さらに進む。
ふと気づくと、前方のヘルメットをしたペアは、スタート時に先行していたペアだった。けっこう高齢の夫婦のようで、旦那の方が足元のあぶなかしい妻を根気よくリードしていた。
クサリ場を注意して下る。途中で、デポしておいたストックを回収して先へ進んだ。
下りは体力的に楽なので、とても早く感じた。
ガスが切れて、五竜山荘の屋根が見えてきた。
テントは撤収組が多かったようで、テント場は朝より空いていた。
11:10 五竜山荘に到着。時間の余裕はまだまだあったので、山荘前で休んでいくことにした。
山荘からの眺め。立山連峰にも雲がかかり始めていた。
先ほどまでいた五竜岳。
バラ科のミヤマダイコンソウ。よく似た黄色の花は多いが、本種は大きな葉ですぐ見分けがつく。
11:30 山荘を出発。
山荘裏の小ピークまで上ると大黒岳へ向かう稜線が一望できた。
五竜山荘はここで見納め。
復路は眺めを楽しみながらのんびり歩いた。
天気はよかったが、時折ガスが沸いてきて唐松岳も見え隠れしていた。
日差しが強烈なので、たまに太陽が雲に隠れると涼しくてありがたかった。
徐々に遠くなっていく五竜岳。その山容はどっしりとして、実に堂々としている。
稜線の西側斜面につけられた道を進む。
ツツジ科のシラタマノキ。別名シロモノ。
広い稜線に出ると、正面北側に唐松岳と牛首がそびえる。
大黒岳の鞍部までどんどん下る。
ハイマツ帯から灌木帯へ入ると上り返しが始まる。
上りになると、とたんに身体が重くなり、前日からの疲労を感じた。
大黒岳が近づいてきた。
キク科のヤマハハコ。花はタカネヤハズハハコと似るが、本種の葉は大きく開く。
岩の急登を上る。
途中で外国人の女性登山者とすれ違ったが、単独で北アルプスに登る外国人女性など、数年前まではほとんどいなかったのではなかろうか。山にも世の中の変化が押し寄せているようだ。
大黒岳から眺めた五竜岳。
12:40 大黒岳の標識を通過してしばらく進むと、餓鬼谷がよく見える稜線に出た。
眺めのよい稜線を進む。
背後の大黒岳。
小ピークを越えて、徐々に大黒岳と五竜岳が遠くなっていく。
大黒岳との鞍部を過ぎて、徐々に上り基調となってきた。
疲労が蓄積されているので、上りは身体が重くてキツかった。
背後の南側には歩いて来た稜線と五竜岳。
牛首と唐松岳。
いよいよ牛首の急峻な岩場が近づいて来た。
あちこちで群生していたキキョウ科のチシマギキョウ。花冠の裂片に毛があるのでイワギキョウと見分けがつく。
ナデシコ科のイワツメクサ。花弁は5枚だが、深く切れ込んでいるので10枚のように見える。
ナデシコ科のタカネツメクサ。花弁の先が割れているのでタカネツメクサだと思うが、ミヤマツメクサとほとんど区別がつかない。
復路もストックをしまってクサリ場にのぞんだ。
クサリ場は下りよりも上りの方が技術的に簡単だが、疲れているので身体がしんどかった。
一段上って、牛首の核心部へ進む。
足元はしっかりあるが、高度感があるので高所恐怖症の人は大変かもしれない。
牛首をクリアして稜線に出た。
唐松岳が目の前に現れた。麓のテント場は下までびっしり埋まっているようだった。
14:50 唐松岳頂上山荘に到着。思ったよりも早く着いた。
山荘の近くに咲いていたフウロソウ科のハクサンフウロ。
山荘の前は登山者でびっしり。宿泊の手続きをする登山者の行列ができていた。
テントの中でひと休み。この日も西日が強烈で、テントの中は暑かった。嫁が持参した団扇が重宝した。
休んでいる間に周囲の様子が聞こえてきたが、初めて会う登山者たちが狭いスペースに協力してテントを張っていて感心した。関西弁の方たちだったが、山でのおばさん最強説など、彼らの雑談もまた面白かった。18:10 寝る準備をするため山荘へ。
唐松岳の向こうに陽が落ちて、やっと涼しくなった。
ガスが少なくなってきたので山荘の先まで様子を見に行くと、南側に白馬三山が姿を現していた。
反対側の牛首と五竜岳。牛首の麓には我が家のテントも見える。
この日のテント場は下までびっしり埋まっており、場所を取れなかった人は山荘宿泊となったが、山荘の定員大幅オーバーで食事が出せずに、最期は素泊まりのみとなっていたらしい。挙句に禁止スペースにテントを張って撤収させられている人もいた。
雲海に浮かぶ剣岳のシルエット。
山荘の前は人でごったがえしていた。バーナーで焼き肉を楽しむ人たちや、円陣を組んで宴会をするグループもいた。
この日の夕焼けは、高度の違う雲が微妙なグラデーションに染まり、見事だった。
刻々と色と形を変えていく夕焼け雲をしばらく眺めていた。17:10 テントに戻って就寝。素晴らしい一日だった。
4時起床、4時50分テント場を出発。山荘横でちょうど日の出を見てからのスタートとなった。いきなり険しいクサリ場が続いて少々面喰ったが、しだいに調子が出た。大黒岳との鞍部までかなり下るので、このコースをピストンするのはキツイと思いながら歩いた。山頂に着く頃にはガスが少し出始めていたが、素晴らしい展望を楽しめた。山頂で2時間近くのんびり過ごしたが、まさに至福の時間であった。前日の疲労もあったので、ゆっくり復路を歩いたが、それでも唐松岳のテント場に早く着き過ぎて、また西日の暑さに難儀することとなった。ちなみにこの日の唐松岳は大混雑。テン場は下まで一杯で幕営できない人が出ており、山荘泊まりの登山客も多すぎて食事の準備ができる人数を超えてしまい、素泊まりしかできない人もいたようだ。
我々のテント場も登山者が協力して限界ぎりぎりまで幕営できるようにしていた。山慣れした人が多かったおかげで、夜は思いのほか静かだった。深夜に星空を眺めるつもりだったが、テントの周囲がぎゅうぎゅう詰めだし、やたらに眠たいしで、今回はそのまま朝まで寝てしまった。心配していた夜中の雨もこの日は降らなかった。